節税にはビル経営の法人化がお得?不動産オーナーにとって法人化のメリットとは

節税にはビル経営の法人化がお得?不動産オーナーにとって法人化のメリットとは

ビル経営やマンション経営を法人化することには、大きなメリットがあります。所得税や相続税の節税だけでなく、経費にできることも増え、さらに「会社の社長」という信用も得られるからです。本記事では、不動産オーナーにとって法人化することにどのようなメリットがあるのか、税金や経費などの観点からご紹介します。

法人化による節税効果その1 「所得税・住民税」

ビル経営やマンション経営の法人化にはさまざまなメリットがありますが、まず挙げられるのは所得税や住民税の節税効果でしょう。

個人でビル経営をする場合

個人でビル経営やマンション経営を行う場合は、個人事業主の税法が適用されます。家賃収入の金額から必要経費を差し引いた残金が「不動産所得」です。この不動産所得に対して、所得税と住民税がかかります。例えば、家賃収入が1,500万円ある場合、経費が500万円かかったとすると、不動産所得は1,000万円です。

法人でビル経営をする場合

法人でビル経営やマンション経営を行う場合も、家賃収入から必要経費を差し引く考え方は変わりません。上記のように家賃収入が1,500万円で経費が500万円の場合、同じように差し引き1,000万円が利益です。この1,000万円の利益に対して法人税がかかります。ただし、ここからが個人とは異なります。利益の1,000万円を役員報酬として社長(オーナー自身)に支給すれば、会社の利益はゼロになるため法人税はかかりません。この役員報酬にも所得税がかかりますが、給与所得控除が適用され220万円差し引かれます。つまり、課税対象となる給与所得は780万円です。個人経営の場合、不動産所得である1,000万円が課税対象となりますが、税金の面では法人経営の方が有利になるというわけです。なお、給与所得控除については改正が行われるため、国税庁のWebサイトで「給与所得控除」と検索して最新情報を得る必要があります。

個人と法人の税率の違い

ビル経営やマンション経営を、個人経営(個人事業主)で行う場合と会社経営(法人)で行う場合では税率が異なります。会社経営の方が税率面でメリットを受けられる所得金額の分岐点は、600万円を目安とできるでしょう。所得金額が600万円を超えたら、法人経営の必要経費を検証のうえ、法人化を検討してもよいかもしれません。個人経営の場合、所得金額が600万円であれば表面税率は25.8%です。表面税率とは、所得税・住民税・事業税(不動産貸付業と仮定)のすべての税率を合わせたものです。なお、所得控除は考慮していません。一方、法人経営の場合、所得金額が600万円であれば表面税率は24.5%です。会社経営の表面税率とは、法人税・住民税・事業税のすべての税率を合わせたものです。なお、住民税・事業税の税率は地域によって若干異なります。税率は法改正の可能性があるため、最新の情報は国税庁のWebサイトで確認しましょう。

法人化による節税効果その2 「相続税」

ビル経営やマンション経営を法人化するメリットは、所得税・住民税に関してだけではありません。不動産を子どもが相続する場合、資産に対して相続税がかかりますが、この面でも法人化にはメリットがあります。

家賃収入と相続税

個人でビルやマンションの経営を行うと、家賃収入から必要経費を引いた金額が不動産所得になります。この所得は毎年蓄積され、相続税の課税対象になります。一方、法人の場合はビルやマンションを経営している会社の株式が相続税の課税対象です。株式の生前移行対策が必要になりますが、あえて赤字や含み損をつくるなど、株式の評価を下げる方法もあります。

法人化すると役員報酬として家族に分散できる

法人での不動産経営を行い、役員報酬として不動産で得た利益を受け取ることは税金面で有利だとすでに述べました。ここからさらに進んで、家族が役員になってもらい、役員報酬を分散して支給することも可能です。その場合、家族それぞれに給与所得控除が適用されますから、節税効果はより大きなものになります。相続税の関連からも、役員報酬を家族それぞれに分散して支給し、親の財産増加をおさえることにもつながるでしょう。

法人化によるメリットその1 「経費にできるものが増える」

ビル経営・マンション経営の法人化によるメリットは、税金面だけではありません。次に経費の面から見てみましょう。

接待交際費や社宅家賃

接待交際費とは、主に得意先や取引先を接待するためにかかった経費のことです。得意先・取引先との接待外食代、来社した得意先・取引先へのお弁当代、パーティーのような宴会代、得意先・取引先へのお歳暮やお中元、得意先・取引先とのゴルフや旅行などの交遊代、得意先・取引先主催のイベント参加費などが該当します。また、法人として賃貸物件を借りれば、社宅として経費化することが可能です。

出張日当や退職金

個人経営の場合、仮に出張に行ったとしても日当を支給することはできません。単に支出が増えるだけです。しかし、会社経営の場合は出張日当を支給することができ、出張日当は非課税で受け取ることが可能です。日当の支給には社内規定を準備する必要がありますので、社会保険労務士の方に相談するのがよいでしょう。社内規定が整備されていれば、仮に税務調査が行われたとしても「社内規定どおりに支給しています」という説明ができるようになります。また、個人経営の場合は事業を辞めても退職金を受け取ることはできませんが、会社経営であれば社長が退職金を受け取っても自然なことです。退職金も経費にできますから、節税につながります。

生命保険や小規模企業共済などの掛け金

個人であっても、生命保険に加入すると生命保険料控除枠の範囲内で保険料の一部を控除することができます。しかし、年間の上限金額があり、新生命保険料に係る控除額は4万円、旧生命保険料に係る控除額は5万円が上限です。一方、法人で保険に加入すると、保険の種類によって全額・半額など経費にできる範囲・金額が増えます。なお、これは個人にも加入資格があるものですが、常時使用する従業員の数が20人以下の法人では小規模企業共済に加入することが可能です。小規模企業共済の掛け金は「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除を受けられます。

法人化によるメリットその2 「社会的信用が上がる」

ビル経営・マンション経営を法人化すると、入居率に良い影響があるかもしれません。社会的信用は、お金に替えられないメリットもあります。

個人の大家さんを卒業できる

個人経営としてビル経営やマンション経営をしていると、「大家さん」と呼ばれることが多いでしょう。一方、会社経営であれば、「社長」と呼ばれることが多く、名刺にも「代表取締役」や「CEO」(最高経営責任者)と記載されるようになります。「大家さん」と「社長」では、言葉の響きの違いもさることながら、社会的信用も異なってきます。社会的信用が上がれば、銀行・金融機関から融資を受けたり、法人でないと申請できない補助金や助成金の申請ができたりなど、金銭面のメリットを享受できる可能性も高まります。

入居付けに好影響も

入居者の方の観点からも、個人経営より会社経営をしているビルやマンションの方が印象は良いでしょう。特にビル経営の場合、入居する方も法人であるケースが多いはずです。名刺交換をする際にも「代表取締役」「CEO」と書かれていると印象が異なり、入居率の向上にも影響するでしょう。

ビル経営の法人化は検討の価値あり

ビル経営を法人化し、個人の大家さんから会社の社長になることには、さまざまなメリットがあります。節税につながることはもちろん、社会的信用を上げることにも役立つからです。ビルオーナーになったら、ぜひ法人化も検討してみてください。

 

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ビルオーナーの知恵袋 編集部
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