快適なビル利用にメンテナンスは欠かせない―管理会社の選び方と費用削減のコツ

快適なビル利用にメンテナンスは欠かせない―管理会社の選び方と費用削減のコツ

ビルの入居者や利用者が快適・安全にビルを利用するために重要な意味を持つのが、日常的・定期的なメンテナンスです。ビルメンテナンスは管理会社に依頼するのが一般的ですが、業者が数多くあるので適切な管理会社を選ぶことはそれほど簡単ではありません。先代からのメンテナンス業者をそのままなんとなく引き継いでいたり、ビル設計時の建設会社の紹介で契約をしていたりする場合には、今一度見直してみてもよいかもしれません。今回の記事では、こうしたビルのメンテナンスを請け負う管理会社の選び方について解説します。

ビル管理会社の選び方とは?

ビル管理会社の重要性

利用者が常にビルを快適に使えるために重要なポイントがビル管理です。清掃や衛生、設備の維持や警備など、さまざまな点において日常的・定期的なメンテナンスは欠かせません。メンテナンスが行き届いていないビルは、入居者はもちろんのこと、入居テナントのお客様や新規の入居希望者といった来館者にも不安を与えてしまいます。ビルに出入りするすべての人に影響を与える事項なので、メンテナンスは信頼できる管理会社に任せる必要があるのです。

選定のポイント

それでは、信頼できて自社にマッチした管理会社を選ぶにはどうすればよいのでしょうか。以下のようなポイントが考えられます。

  • 実績

まずは確認しておきたいのが、これまでその会社がビルメンテナンスを行ってきた実績です。Webサイトから簡単に確認できることも多いでしょう。確認する際に気を付けたいポイントとしては、自社と同等の規模のビルメンテナンスの実績が豊富にあるかどうかです。同等の規模のビルメンテナンスを多数請け負っている業者は、ノウハウを蓄積しており技術面でも信頼できる可能性が高いといえます。

  • 強み

一口にビルメンテナンスといっても、日常清掃、害虫駆除、設備点検などさまざまな項目があります。ワンストップですべての業務をカバーしている業者もありますが、項目ごとに強みのある業者に依頼する方法もあります。

  • 規模

大型ビルの場合には、エレベーターや設備類の管理で高度なレベルが必要とされるため、大手の管理会社に依頼する必要があります。反対に、小型ビルの場合には中小規模の業者に依頼した方がコストをおさえられる可能性があります。

  • 資格の保有状況

施設の衛生管理や設備の点検は有資格者が行うことと法律で定められているものもあります。衛生管理や清掃なら「建築物環境衛生管理技術者」、電気設備関係なら「電気主任技術者」なので、どのような資格を持った社員が在籍しているかを確認することも管理会社を選ぶうえでポイントとなります。

  • コスト

候補となる管理会社が決まったら、担当者と打ち合わせのうえ見積もりを依頼します。複数の業者から情報をもらい、費用対効果を比較するとよいでしょう。

  • メンテナンスの結果とフィードバック

管理会社から、細かな作業報告や的確な修繕必要箇所の連絡が届くかどうかも重要なポイントです。打ち合わせの際には、どのようなフィードバックが得られるかを確認します。もしも契約後に守られていないようであれば、管理会社の変更も検討しなくてはなりません。

ビル管理の具体的な項目とは?

ここまで管理会社選定のポイントについて紹介しましたが、そもそもビル管理にはどのような業務があるのか、具体的に把握しておきましょう。

ビルクリーニング

日常的なビルメンテナンスといえば、ビルの清掃(クリーニング)です。オーナー側で管理・メンテナンスする箇所としては、毎日や毎週といった日常的なものと、半年や年に一度のように定期的に行うものがあります。前者は共用部やトイレの清掃、エントランス・エレベーターのマット交換など、後者は外壁や窓の清掃、タイルカーペットのクリーニング、石材のコーティング・ワックスがけなどです。

衛生管理

快適な利用のかなめであり、「建築物環境衛生管理基準」として法律でも定められているのがビルの衛生管理です。

  • 空気環境測定

空気環境測定は、ビル内の浮遊粉塵、一酸化炭素、二酸化炭素などの項目を測定して、ビル内の環境が安全かつ衛生的に保たれているのかどうかチェックします。床の延べ面積が3,000㎡以上のビルには法律で管理が義務付けられています。測定の頻度は2か月以内ごとに1回です。

  • 害虫等の駆除

ゴキブリやネズミなどを定期的に駆除します。頻度は6か月以内ごとに1回とされています。

  • 貯水槽管理

貯水槽の汚染や菌の繁殖により、排水管を通って細菌などの不純物が健康被害を引き起こすことがあり、法律では1年に1回の検査が義務付けられています。

  • 排水管理

排水管のつまりや故障、不純物の混じった排水が川や海に流れてしまうのを防ぐために6か月以内ごとに1回の法定点検が義務付けられています。

電気設備管理

電気設備管理の主な項目は以下のとおりです。

  • 電気通信設備

電気設備の経年劣化の状況を点検します。箇所ごとに日常的に、あるいは月ごと、年ごとにチェックするなど点検の頻度が異なります。トラブルを未然に防ぐことが重要なポイントです。

電気関連でおさえておきたいのが高圧電力を利用していた場合のキュービクルの点検です。電気主任技術者の選任や月次・年次での点検が義務付けられています。

→ 高圧電力やキュービクルについてはこちらの記事もご参照ください

  • ボイラー業務

ボイラーのあるビルでは、ボイラーの点検も必須です。高温で蒸気を作り出すボイラーは細かな管理を要するもので、小型ボイラー以外を扱う場合にはボイラー取扱作業主任者(特急~2級ボイラー技士の資格者)の選任が必要となります。

  • 消防点検

いつ火災が起きても器具が適切に使えたり、建物内から安全に避難できたりするように消防点検を行います。点検項目ごとに点検期間が設けられており、もっとも頻繁に行う機器点検は6か月に1回です。

  • エレベーター点検

定期的なエレベーターの点検は「建築基準法」や「労働安全衛生法」といった法律で義務付けられています。性能検査や自主点検がありますが、少なくとも年に1回は有資格者や指定機関での定期検査が必要です。

→ その他の法定点検についてはこちらの記事もご参照ください。

建物内のエネルギー管理

建物内のエネルギー管理の主な項目は以下のとおりです。

  • エネルギー管理

漏電やガス漏れ、水漏れなどを回避するための機能的な管理を行います。従来は明細書の「使用量」をチェックするまで異変に気が付かないというケースもありましたが、近年はビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)の導入により、システムによって管理できるようになり、利用するビルも増えています。

  • 省エネ管理

エネルギーに関しては、使用量をチェックするだけではなく省エネ管理まで要求されます。省エネに成功した場合には、ビルのコストが削減できるだけではなく地球環境に貢献しているビルとして対外的な評価も高められるでしょう。

ビルメンテナンス費用の削減方法

このように多岐にわたる業務をカバーするビルの管理ですが、メンテナンス費用に関してはできるだけおさえたいものです。以下で削減のための基本的なポイントについて見てみましょう。

業者のコストを単純比較することは難しい

複数のビルメンテナンス業者の価格を比較する場合、業務項目や作業の質がそれぞれ異なっていることが多く、単純比較が難しいという事情があります。

費用が安いように思えても清掃が行き届いていなければ入居者の満足度が下がってしまい、結果として退去率の増加や入居率の低下につながってしまうことも。また、電気機器などは正しい管理により光熱費の削減につながることが多く、「安ければ安いほど良い」とは言い切れないのがメンテナンス費用の考え方の基本です。

一括で委託するか個別に選定していくか

ビル管理の業者のなかには、クリーニング業者や電気設備業者など個別のメンテナンス業務を行っている業者とそれらを一社で総合的に取り扱っている総合ビル管理会社があります。

総合ビル管理会社に依頼をすれば一社に一括して依頼ができるので、管理が簡略化できます。加えて、管理項目ごとの連携やメンテナンス作業の日程調整などもスムーズになりやすい、打ち合わせや日程の調整をワンストップで依頼できるので手間を軽減できるというメリットがあります。

基本的にはこちらの方がおすすめなのですが、管理会社が個々の専門業者に業務を発注していくこともあるので、コストが高くなりがちです。もしも、オーナー自身にビル管理に関する知識やノウハウがあれば、業務ごとに個別に業者を選定することで自分の思いどおりにメンテナンス業務を統括でき、なおかつコスト削減にもつながります。

まずは自身がビル管理にもっとも求めるものについて明らかにすることが大切でしょう。

ビルの印象をつくるのは日ごろの細かなメンテナンス

メンテナンスが行き届いているかどうかはビルの印象に直結します。そして、ビルの印象は入居者の満足度や将来的な入居率にも影響する可能性が高いため、ビルオーナーは自身のビルにとって最適なビル管理会社を選ぶことが大切です。この記事ではビル管理の具体的な業務や業者の選定ポイントについてご紹介しました。現在委託している業者が自身のビルに合っているか、今一度検討してみるのもよいでしょう。

 

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