ビルオーナーのための相続対策!“争族”にならない円滑な“相続”とは

ビルオーナーのための相続対策!“争族”にならない円滑な“相続”とは

日本における相続財産の60%は不動産であるといわれています。ビルオーナーであれば、家族同士が争う「争族」にしないために、相続について生前から考えておくことが非常に大切です。今回は、実際のトラブル事例を紹介しながら、円滑な相続のための方法をご説明します。

なぜ不動産・ビルを持っていると相続が争族になってしまうのか?

資産を持っていれば、できる限り子どもや孫のために資産を残したいと考えるのは自然なことです。しかし、資産があったがゆえに親族同士で争いが起こることもしばしば。相続をもじった「争族」という言葉も聞かれるほどですが、このようなトラブルを防ぐためには、争いになる理由を知り、しっかりと対策をすることが求められます。

物件が一つしかないと争族になる

不動産は、現金や株とは異なり一つの物件を自由に分けることはできません。相続人が複数人いて残された資産が1件の不動産だけで預貯金や有価証券などの相続資産がない状況であれば、土地を分筆しない限り争族になってしまう可能性があります。公平に不動産を分けるというのは、極めて難しいことです。

トラブルにならないためには、生前対策がとても重要

兄弟や親族間で相続トラブルにならないよう、生前からしっかりと対策をすることが重要です。資産の棚卸を行い一覧表にまとめておく、相続人にどのような相続資産があるかを伝える、公証役場で公正証書遺言を作成しておく、資産をどうしたいか話し合っておくなど。お金の話はしにくいかもしれませんが、財産によって家族仲が悪くなるよりはよいのではないでしょうか。

資産組替も検討する

相続資産が分けにくい場合は、資産組替を検討するのもよいでしょう。不動産を売却し預貯金に替える、預貯金で複数の不動産を買う、空地にビルやマンションを建てる、不動産を売却して有価証券に替えるなど、資産の形はさまざまです。場合によっては、相続税の節税になることもあります。しかし、テナントビルやマンション、アパート経営の場合は空室リスクがつきものです。資産が負債になってしまうこともあるので、その点には注意が必要でしょう。

不動産・ビルがもとで争族になってしまった事例

ここでは、実際に相続で親族間トラブルが起こってしまった二つの事例についてご紹介します。

医師でビルオーナーAさんの事例

医師でビルオーナーのAさんは70歳で他界。すでに奥様を早くに亡くされていました。相続資産は、クリニックとクリニックが入ったビル兼自宅が1棟、ほかにもう1棟マンションをお持ちでした。相続人は、医師免許を持った長男と医学生の長女です。

クリニックの価値評価は約1億円。クリニックが入ったビル兼自宅は3億円。マンションは2億円の価値とします。

クリニックは、医師免許を持っている長男しか引き継ぐことができません。そのため、クリニックは長男へ、マンションは長女へ相続されました。しかし、クリニックが入ったビル兼自宅を巡って兄妹で対立してしまいます。

長男は「クリニックよりもマンションの方が評価額は高い。クリニックを経営するのは自分なので、クリニックが入っているビルも自分のものだ」と主張し、長女は「医師免許を持っているからといってクリニックを取られるのは納得がいかない。ビルは自宅でもあるので、私は自宅に住み続けたい」と主張しました。

Aさんは遺言書を残していなかったため、兄妹間の争いは今も続いています。

相続で兄弟が絶縁になったBさんの事例

Bさんは、85歳で他界。旦那さんを亡くしていたため相続人は、長男、長女、次男、次女の4人です。相続資産は、賃貸併用の自宅で次男家族が同居していました。敷地内には、長男の自宅とアパートがあります。

長男は「不動産を全部相続したい」、次男は「土地は分筆して兄と分けたい」と主張。長女は法定割合分の現金を要求し、次女は「関わりたくない」と相続を放棄しました。

話し合いでは解決せず、各自が弁護士を立て裁判所の調停へ。結果、長男が不動産を取得し、次男家族は家を明け渡し兄弟は絶縁してしまいました。

兄弟間でトラブルになった原因のひとつは、生前に遺言書を作成しなかったこと。遺言書を作り、分割を決めておくことはとても大切なことです。

ビルオーナーの相続対策・節税対策には「法人化」

ビルオーナーにとって、相続対策や節税対策はとても重要です。ここでは相続対策・節税対策としてよく用いられる「法人化」についてご紹介します。

法人化は節税の代表的な手法

相続対策・節税対策として、不動産管理会社を設立するビルオーナーは多くいます。法人化することで、通常の運営としても所得税を、相続に際しても相続税を節税することができます。また、個人ではなく会社としてビルを運営していくので、経費の扱いもより柔軟に対応できたり、オーナー自身も「社長」という意識ができてより効率的な運営をすることにつながったり、というメリットも見込めるでしょう。

管理委託方式も一考の価値あり

ビルの名義自体は個人のままとしながら、管理業務を業者に任せる「管理委託方式」という方法もあります。外注するの?と思われるかもしれませんが、通常は維持管理をする専門業者にお願いするところを「自分の会社に」委託する、というところがポイントです。

ビルオーナーは家賃収入から一部を管理料として自分で設立した管理会社に支払います。これは必要な経費とみなされるため、結果的にオーナー側での節税となります。他方、自分で設立した管理会社では社員が実際に管理業務を行います。オーナーから受け取った管理料は会社側では売上となり、ここから役員や社員に給与を支払います。管理委託方式でよく行われるのは、この会社の役員・社員を家族や親族にする、というものです。親族であっても業務を行っているわけなので、当然給与を受け取ることができます。また、法人が支払う給与なので、家族に支払っていても贈与税が発生することもないのです。

生前贈与による承継

自分の死後に不動産の相続で親族間トラブルが起こらないよう、不動産を生前贈与するという選択肢もあります。相続時精算課税制度のメリットとデメリットを解説します。

相続時精算課税制度

「相続時精算課税制度」という制度は、高齢者の資産を次世代に移転・循環させることを目的として導入されました。贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その後、相続時にその贈与財産と他の相続財産を合計した金額を基に計算した相続税額から、すでに納めた贈与税を差し引いて相続税の精算を行うという制度です。

相続時精算課税制度を使うことで、2,500万円の非課税枠を活用することができます。非課税枠を超える部分については、20%の贈与税が課税されます。贈与の時点で贈与財産が固定されるため、将来的に値上がりが期待される不動産や成長企業の株式を保有している場合は検討する価値があるでしょう。

メリット

  • 贈与財産の価値が贈与時点の時価評価となるため、今後評価額が上がりそうな資産には効果がある。
  • 生前贈与を受けた不動産から発生する家賃収入は子どもに移転する。そのため、親世代の資産の増加を抑えるとともに、その賃貸収入から納税資金を準備することができる。

デメリット

  • 将来不動産価値が下がった場合は、逆効果になってしまう。
  • 贈与で取得した不動産に対しては、「不動産取得税:固定資産税評価額の3%(非住宅は4%)」「登録免許税(固定資産税評価額の2%)」が必要。
  • 「小規模宅地等の特例」制度が使用できなくなる。
  • 制度を使うと暦年課税に戻れないため、年110万円の基礎控除は使用できなくなる。

相続をスムーズに行うために

相続が争族になってしまった事例を知ることは、相続対策を考えるうえで極めて重要です。ビルオーナーになったら、相続対策を他人事にせず、自分事として捉えて対策をしておきましょう。

 

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ビルオーナーの知恵袋 編集部
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